『いましかない』




「おはよう!」

その声に一瞬ビクッとする
振り向くとそこに彼女がいた

「お…おはよう」

「今日って委員会だよね?出る?」

「うん出るよ」

「そっか」

嬉しそうに微笑んで見えたのは気のせいか?
そんな反応されると期待してしまうじゃないか


こんな何気ない会話も
明日からしばらく出来なくなる



放課後
委員会が始まるのを待っていたが
なんだか落ち着かない

「夏休みは何か予定とかあるの?」

いつも話しかけてくるのは彼女の方だ

「ああ…いや特には
部活ぐらいかな?」

「私も部活だな〜
彼女とどこか行ったりしないの?」

「えっ?」

そんなこと聞かれるなんて思ってもみなかった

「いないし彼女なんて」

「そうなの?ふ〜ん」

こっちも聞くべきか否か…聞きたいような
でも怖くて聞きたくないような


「委員会始めます」

結局聞けずに委員会が始まった


彼女は自分のことをどう思っているのだろうか?

もしかして…という期待と
そんなわけないという諦めが交差する



「お疲れ様」

気付いたら委員会は終わり
彼女はもう帰る支度をしていた

「お…お疲れ」

教室を出ていく背中を見送る


今までだってそうだ
ただ見てるだけで
結局諦めるの繰り返し

このまま…
もやもやしたまま
ただ想いを募らせるのか?


ガタン!


弾かれたように教室を出た途端
つっかかってたモノが外れたような気がした
いまなら彼女を追い掛けられる



「待って!!」



声が廊下に響く
ゆっくりと彼女は振り返った


今までにないほど高鳴る心臓


君の返事がどうであろうとも


この想いを伝えよう


いましかないのだから





モドル