『帰ってきた』


驚いた
ボクは初めて
呪いというものを間のあたりにした

玄関の前にちょこんと座っている君は
ボクとドアの隙間から入ってきた
戸惑いながら後を追う


なんであんなこと思ったんだろう
いまさら後悔…


恐る恐る君に触れてみる
気持よさそうに目を細め
すり寄ってきた


いいかも…


さっきの後悔はどこへやら
じゃれながら
いつも言えないことを言ってみたりして


だけど…
何だか虚しい
今の言葉
君はどう思ってるの?
ボクも君のようになれば分かる?


喉の辺りがツンとして
君の姿がぼやけて見えない


「ごめんよ…」
それ以上言葉にならなくて
そんなはずないのに
君の声がして
ダメだな…ボクは



「どうしたの?」



振り向くと
キョトンとした君がそこにいた


そして「ミャー」という鳴き声に恥ずかしくなる
だって…
本気で思ってたもんだから


何故ボクが泣いていたのか
聞いてくることはなかった
彼女なりに解釈したのかもしれない


でも…
本当の理由は
ボクとネコだけの


秘密





モドル