『思い通りだ』


「はあ…」
溜め息をついた

あれから1、2、3、4………10
もうそんなに経ってしまったのか…

こんなに会わない日が続くのは初めてかもしれない


原因は本当にささいなこと
だけどボクから折れる気はなかった

だから今に至る



途中で寄ったコンビニで雑誌を立ち読みをしてたら
あるページで手が止まった

周りを見渡して人がいないことを確認すると
普段は読まないそのページを真剣に読む


「はあ…」
読まなきゃよかった
肩を落としながらコンビニを出る


ふとすれ違ったカップルを見てドキッとした
一瞬
その女性が彼女に見えたからだ


そんなはずはない
良からぬ想像をしては消し去る


「いらっしゃい!」
いつもの居酒屋の活気はボクから見たら何だか遠い世界のようで
飲んでもなんだか美味しくない


空いた隣の席を見て考える



もう…いいかな?



携帯だけ持って店の外に
一度深呼吸をして彼女に電話をかけた


カチャ
「ただいま電話に出ることができません…」

留守電か…
どっと緊張が解ける

「…ご用件をお話しください」

ピーッ

「もしもし?
ええっと…この前は…ごめん…」

許してくれるだろうか

「今いつもの所で飲んでるんだけど…」

あまりにも遅すぎて愛想がつきちゃった?

「よかったら…来ない?」

君は来てくれる?



「もちろん!!」



突然
後ろから言われビクッとするボク


振り向くと
君がいた


「あと少し遅かったら他の男とデートしてたな〜」
意地悪そうに笑う君

「なんちゃってね!
はい!
そんなあなたにご褒美」

と言って赤い包装紙にくるまれた箱を手渡された
そっか今日は…
すっかり忘れてた

「さあ入りましょ
お腹すいちゃった」

そう言って意気揚々と店に入って行く


なんだかんだ言って
最終的には君の思い通りになる


それでいい
それがボクの勝ちでもあるから


「早く!」
急かされてボクは
彼女の元に向かった





モドル